「選択発明」審査基準抜粋

出典:特許庁ウエブサイト(2021/3/10現在)

第 4 節 特定の表現を有する請求項等についての取扱い

 

7. 選択発明

7.1 請求項に係る発明の認定

選択発明とは、物の構造に基づく効果の予測が困難な技術分野に属する発明であって、以下の(i)又は(ii)に該当するものをいう。
(i) 刊行物等において上位概念で表現された発明(a)から選択された、その上位概念に包含される下位概念で表現された発明(b)であって、刊行物等において上位概念で表現された発明(a)により新規性が否定されないもの
(ii) 刊行物等において選択肢(注)で表現された発明(a)から選択された、その選択肢の一部を発明特定事項と仮定したときの発明(b)であって、刊行物等において選択肢で表現された発明(a)により新規性が否定されないもの
したがって、刊行物等に記載又は掲載された発明とはいえないものは、選択発明になり得る。

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選択発明についても、通常の場合と同様に請求項に係る発明を認定する(「第3 節 新規性・進歩性の審査の進め方」の 2.参照)。

(注) 「選択肢」については、「第 3 節 新規性・進歩性の審査の進め方」の 4.1.1(注 1)
を参照。

7.2 進歩性の判断

請求項に係る発明の引用発明と比較した効果が以下の(i)から(iii)までの全てを満たす場合は、審査官は、その選択発明が進歩性を有しているものと判断する。
(i) その効果が刊行物等に記載又は掲載されていない有利なものであること。
(ii) その効果が刊行物等において上位概念又は選択肢で表現された発明が有する効果とは異質なもの、又は同質であるが際立って優れたものであること。
(iii) その効果が出願時の技術水準から当業者が予測できたものでないこと。

例:
ある一般式で表される化合物が殺虫性を有することが知られていた。請求項に係る発明は、この一般式に含まれている。
しかし、請求項に係る発明は、殺虫性に関し具体的に公知でない、ある特定の化合物について、人に対する毒性がその一般式中の他の化合物に比べて顕著に少ないことを見いだし、これを殺虫剤の有効成分として選択したものである。そして、これを予測可能とする証拠がない。
この場合は、請求項に係る発明は選択発明として、進歩性を有している。

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